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会長挨拶

2018年度会長就任挨拶

油谷 好浩
油谷 好浩
ABURATANI Yoshihiro

 この度、船﨑健一前会長の後任として2018年度の日本ガスタービン学会会長を拝命することになりました油谷好浩です。本学会は日本ガスタービン会議を前身とし今年で46年という長い歴史のある学会であり、諸先輩の築いてこられた伝統をしっかりと引継ぎ、様々な活動を通し、将来に向けて本学会が社会に貢献していけるよう努力する所存です。皆さんのご協力、ご指導をよろしくお願いします。

 さて、私個人の話で恐縮ですが、私がガスタービンに興味を持ったのは中学生の時、日本ガスタービン会議が発足する前になると思います。百科事典にジェットエンジンの断面図が載っており、その絵を見たときに、なんて美しくてかっこいいものが世の中にあるのだろう、こんなものをどうやって設計するのだろう、どうやってこのような形が決まるのだろう、等々、思いを巡らせて何度もその断面図を眺めていたのを思い出します。そして大学では機械工学を専攻し、そのあと就職もガスタービンに携われるメーカを選んだ経緯があります。私が会社に入ったのが1982年。ちょうどコンバインドサイクル発電が商用化され、ガスタービンがそれまでのピーク電源用からミドルあるいはベース電源として実用化されたころでした。当時のガスタービンは1100℃級で、その後、最先端の技術が投入され、発達してきた結果として、今やコンバインドサイクル発電効率は63%を超えるレベルにまでなっています。ガスタービンは流体力学、熱力学、材料力学、材料工学、振動工学、制御工学等、すべての機械工学技術を駆使して限界設計に挑むものであり、また各要素が一つのシステムとしてバランスをとることが必要であるなど、機械屋にとってはたいへん面白くて血が騒ぐ研究開発対象であり、しかも今も発展途上にある機械です。本学会はそのようなガスタービンとそれに関係するエネルギー関連技術を対象とし、国内のみならず海外も含めて産学官すべての関係する人々を結びつけ、その発展と社会の貢献に寄与することを目的として活動しており、今回、その会長になることは本当に光栄なことだと思っています。

 ガスタービン学会はこれまで、学術講演会や見学会、教育シンポジウム、セミナーや教科書・学会誌の出版、IGTCやACGTのような国際イベント、更には関係者の裾野を広げるための市民フォーラム、女性参画推進活動、若手懇談・懇親会等、様々な活動を活発に推進しています。これらは熱意に溢れた歴代会長や理事、委員、会員、そして学会事務局の皆さんの活動の賜物であり、引き続き2018年度も渡辺紀徳副会長とともに活発な学会運営をさせていただく所存です。

 昨今のエネルギー環境の変化の中で、ガスタービンの重要性は益々増加しています。その特徴は、非常にシンプルな機械であるにもかかわらず、サイクル最適化という視点で様々なバリュエーションの可能性を秘めていることだと思います。環境性能向上のための機器・システムの効率向上や騒音・NOx抑制だけでなく、再生可能エネルギーが益々普及する中で、安定的な電力インフラ確保という課題に対しても、ガスタービンの技術が応えるポテンシャルは大きなものがあります。バイオマスや水素、超臨界CO2サイクルやエネルギー貯蔵、製造技術でのAM活用等、将来に向けその技術がカバーする領域は膨大にあり、航空機エンジン電動化のような話も含めて、夢が語れる学会でありたいと思います。

 将来に向け、環境に優しくかつ全世界の人々の生活の質を高めるためのエネルギーやモビリティー手段として、ガスタービンが更に発展していくための貢献を本学会が担えることを祈念して、私の挨拶とさせていただきます。