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会長挨拶

2021年度会長就任挨拶
-コロナ禍での学会活動の発展を目指して-

Message from the President
- Development of Academic Society Activities under COVID-19 Pandemic -

太田  有
太田 有
OHTA Yutaka

 このたび2021年度日本ガスタービン学会会長を拝命することになりました太田 有です。
1987年10月に五反田“ゆうぽうと”で開催された国際会議IGTC1987での研究発表が本会との最初の出会いになります。その前年1986年の入会ですので、今年で在会35年になりました。多くの諸先輩方を差し置いて、ガスタービンが専門ではない私が会長という重責を考えたとき、自己の力不足は否めませんが、皆様にご指導・ご鞭撻を賜りながら、微力ですが本会発展のために尽力する所存ですので、何卒、よろしくお願い申し上げます。

 新型コロナウイルスの世界的な感染爆発から約1年が経過しましたが、この間、緊急事態宣言の度重なる発令や外出・移動自粛など、公私ともに今まで経験したことがない1年になりました。楽しみにしていた東京オリンピックは延期になり、通勤を控えた在宅勤務という新しい労働形態が定着すると共に、会議や集会行事のあり方もWebを利用したオンライン開催へと移行してきました。現在でもまだ予断を許さない状況が続いております。

 本会の各種事業もこの新型コロナウイルスの影響を強く受け、理事会や各委員会は殆んどオンライン開催となり、顔を突き合わせて議論したり、情報交換することの重要性を再認識する契機にもなりました。このような状況下でも、理事や委員の皆様のご尽力により、本会は、学会誌や英文論文集などの定期刊行物を粛々と刊行し、オンライン開催とはなりましたが定期講演会や市民フォーラム、ガスタービンセミナーなどの集会行事も継続して参りました。しかし残念ながら、数多くの集会行事は中止または延期を余儀なくされました。その一方で、新しい試みとして本年1月に開催された学生フォーラムには、全国の大学から140名を越える参加者がありました。参加費を無料に設定したことが幸いとなった可能性もありますが、ガスタービン学会やその関連分野の学術・技術に興味を持っている学生諸君が数多くいることを再認識すると共に、今後の学会活動を担う若手会員の増強に向けて大きなヒントが得られたように感じています。

 さて、学会の外に目を転じますと、 2020年10月に首相が臨時国会で行った“2050年カーボンニュートラル宣言”が本会と関連する大きなニュースになりました。2021年4月に開催された気候変動サミットでは、温室効果ガスの新たな削減目標として2013年度比で46%削減という高い目標値が設定されました。政府が発表している主な施策の中には、再生可能エネルギーの最大限の活用や、CO2の回収・再利用を前提とした火力発電の高効率化と技術開発、安全を担保した原子力政策の推進、水素やアンモニアを始めとする新燃料に関する技術革新など、本会と密接に関連する数多くの技術課題が列挙されており、2050年に向けて本会の果たす役割の大きさと重要性、責任の重さを痛感します。既に本会が端緒となってNEDOの基盤技術開発プロジェクトとして研究開発が進んでいる「機動性に優れた広負荷帯高効率GTの開発」や、調査研究委員会が昨年度からSIP事業として実施している「材料データベースの構築に向けたプロジェクト」、本年度より新規NEDO事業として開始予定の「航空機エンジン向け材料開発・評価システム基盤整備事業」など、本会は当該分野の技術開発に多くの貢献を行って参りました。これからの約30年間は、ガスタービンや関連するエネルギー分野を統括的に扱う学術団体としての当学会の責務が問われることになります。会員の皆様により一層のご協力を仰ぎ、公益社団法人としての役割も果たしながら、脱炭素化に向けた世界規模の大きな動きの中で本会が貢献できることを模索していく一年にしたいと考えております。特に、ガスタービン関連学術・技術分野で多くの会員の方が参画できる研究開発が企画立案できるように尽力したいと思っております。

 本会は来年の2022年に創立50周年という節目の年を迎えると共に、2023年には次期国際会議IGTC2023が関西で開催される予定です。既に50周年記念事業実行委員会やIGTC準備委員会が組織されて準備が着々と進んでおります。コロナの影響で集会行事の多くは制限を受けることが予想されますが、学術・技術情報の交換のみならず、当該分野に携わる人の交流も本会の大きな使命と役割です。福泉靖史副会長をはじめ、理事、委員、事務局の皆様とこの難局を乗り越え、ポストコロナに向けた学会の運営方針を模索する1年間になると思いますので、会員の皆様にはご支援とご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます